ワオン物語2(2012年~2017年)

ワオンの活動を開始した2007年からを設立者の田中が語ります

Tanaka of the founder speaks from 2007 when the Waon Project started its work 

4、活動2012年〜2017年(AAF、CA関西、日常避難所511、具体大学)
 しかしながら一方で、活動5年目を過ぎて。これまでの表現活動の当事者であるアーティスト、クリエイターに『場所や機会を提供する』という直接的な団体としての活動については『限界』と『問題点』を僕は今度は”自覚的”に感じつつあった。そしてそれは中之島4117の事業終了後に、2002年から『市民の主体的な参加によるアートフェスティバル』というコンセプトで毎年開催されていたアサヒアートフェスティバル(以下AAF)に全国の他団体の活動リサーチも兼ねて採択団体として2012年から2015年まで参加し交流する事で、より明確になった。

”せっかく海外から著名なアーティストを招聘したのに集客に困っている””精一杯活動を続けても、家族や関係者しか来てくれず、しかも高齢化が進んでいる””ギャラリーやアートイベントにそもそも足を運ばない人にどうアプローチしたらいいのか?””アートプロジェクトのボランティア経験を活かして、今後も関わりたいが、どうやってコンタクトしたらいいのだろうか?”

 つまり、スペースやイベントとしての活動として地域で発信しているだけでは(一部の既存層の取り込みに関してはともかくとして)例え、どれだけ質が高く、また運営側が一生懸命だったとしても、それを支える裾野の広がり、ボトムアップという面では、やはりそれだけでは効果や影響には『限界』があり、特に『新しく文化芸術に潜在的に関心のある層を取り込む”補助線”に関しては著しく不足している』という『問題』である。

 そうした問題を『間接的に文化芸術の裾野を広げる』事で、解決する為に、僕が2012年当時、次に考えたのが冒頭で述べた『文化のセーフティネットを創る』という新たな(そして2017年現在の)団体コンセプトの設定。具体的な新事業としては以下の3つだった。

 1つはAAFをシステム自体を参考に関西圏を中心とした『創造的な活動』をジャンルに拘りなく、自薦他薦問わずに毎年8月からWeb上で募集し、12月に授賞式を開催し表彰していく公募型アウォード『クリエイティブアウォード関西(以下CA関西)』。
 そして中之島4117で同じく企画委員をしていたアサダワタル氏が提唱する“住居や個人事務所といったプライベートな空間をセミパブリック化させる活動である”住み開き”に影響を受けつつ、更に『日常避難』とコンセプトを拡大させた“24時間365日”の拠点運営である『日常避難所511』。

 最後が“文化芸術を見る人に補助線をひく”為の実験的な鑑賞プログラムとして“月1回の美術史講座”を軸にワークショップ、フィールドワークとし年間プログラムとして展開する『具体大学』である。

 『CA関西』ではAAFに団体として参加すると同時に、偶然にAAFの年度の採択団体を決める選考委員を2013年〜2015年まで3年間務めさせていただく経験の中で感じた“人と人の繋がり、ネットワークの力”を可視化する事業として、2013年から毎年、Web上で応募してくれた約50〜60の個人、団体の中からファイナリストとして10組前後、そして1組をその年のグランプリとしての表彰式を会場で開催してきた。
 『日常避難所511』では2012年から公民館に代表される公共の場や営利スペースでは“不可能な実験的なイベントや集まり”の『自己責任での引き受け』や、これまでの蓄積した団体としてのノウハウ公開を冒頭の様に年齢や性別、職業などに関係なく5年間で約5000人に無償で毎日行ってきた。
 2014年からスタートしている『具体大学』では毎月1回全10回で西洋美術史、日本美術史の講座を行いつつ、美術館やギャラリー巡りといったフィールドワーク企画も継続開催してきた。

 最終的な評価を下すには、まだ進行形ではあるが『CA関西』『日常避難所511』が日本経済新聞、NHKといった各種新聞、テレビなどのメディアで紹介されたり『具体大学』の各美術史講座のYouTube動画での再生回数が合計で10000再生回数を越えたり、現状においても『新しく文化芸術に潜在的に関心のある層を取り込むには著しく不足している』という問題に対する『間接的に文化芸術の裾野を広げる』活動としては『一定の成果を出せている』と2017年現在”補助線”としての活動成果に確かな手応えを感じ始めている。